スマホの画面、テレビ、イルミネーション、信号機など、LEDはさまざまな色で光っていますよね。同じLEDなのに赤・青・緑・白とさまざまな色が出せるのはなぜでしょうか。蛍光灯や白熱電球は決まった色しか出せないのに、LEDはなぜ色を自由に変えられるのでしょうか。この記事では、LEDが色を変えられる理由を半導体の仕組みからわかりやすく解説します。
結論:LEDに使う半導体の種類によって放出される光の色が決まり、組み合わせることであらゆる色が作れるからです
一言で言うと、LEDが色を変えられる理由は「半導体の材料の種類によって放出される光の波長(色)が異なり、赤・緑・青の3色のLEDを組み合わせることであらゆる色を作り出せるから」です。LEDの色は塗料や色素で作るのではなく、半導体の材料そのものが決定するという根本的な仕組みによるものです。
なぜLEDは色を変えられるのか?半導体が光を作る仕組み
LEDは「発光ダイオード(Light Emitting Diode)」の略で、半導体に電気を流すと光を発する素子です。この発光の仕組みを理解するには、半導体の中で何が起きているかを知る必要があります。
半導体には「電子が多い層(N型)」と「電子が少ない層(P型)」の2種類があります。この2つを組み合わせたLEDに電気を流すと、N型の電子がP型に移動します。このとき電子は高いエネルギーの状態から低いエネルギーの状態に移り、その差分のエネルギーが光として放出されます。
ここで重要なのは、放出される光の色(波長)はエネルギーの差によって決まるという点です。エネルギーの差が大きいと波長が短い光(青・紫)になり、エネルギーの差が小さいと波長が長い光(赤・橙)になります。そしてこのエネルギーの差は半導体の材料によって決まります。
たとえるなら、音楽の音階のようなイメージです。ピアノの鍵盤(半導体の材料)によって出る音の高さ(光の色)が決まります。低い鍵盤(エネルギー差が小さい材料)からは低い音(赤い光)が、高い鍵盤(エネルギー差が大きい材料)からは高い音(青い光)が出ます。
白色LEDとフルカラーLEDはどうやって色を作るのか?
赤・緑・青のLEDが作れれば、この3色を組み合わせてあらゆる色を作り出せます。これを「光の三原色」といいます。
フルカラーLED(スマホ画面・テレビなど)は、赤・緑・青の3つのLEDを1セットとして並べています。それぞれの明るさを細かく調整することで、混ざり合った光があらゆる色に見えます。赤と緑を混ぜると黄色、緑と青を混ぜるとシアン、すべてを最大にすると白になります。スマホの画面を虫眼鏡で拡大すると、赤・緑・青の細かい点が並んでいるのが見えます。
白色LED(照明用)は主に2つの方法で作られます。ひとつは青色LEDと黄色の蛍光物質を組み合わせる方法です。青色LEDが蛍光物質を刺激して黄色の光を発生させ、青と黄が混ざって白く見えます。もうひとつは赤・緑・青の3色LEDをすべて光らせる方法です。現在市販されている白色LEDの多くは青色LEDと蛍光物質の組み合わせで作られています。
ちなみに青色LEDは長い間実現が難しく、赤と緑は1960年代に開発されていたのに青色LEDが完成したのは1990年代のことです。日本の研究者である赤崎勇・天野浩・中村修二の3氏が青色LEDを開発し、2014年にノーベル物理学賞を受賞しました。青色LEDの開発によって光の三原色が揃い、フルカラー表示と白色照明が実現しました。
ところで、LEDと同じく光を作る仕組みとして「なぜ蛍光灯は光るのか」も気になりませんか?水銀と蛍光物質を使う蛍光灯の発光の仕組みを解説した記事もあわせて読んでみてください。
よくある関連疑問 Q&A
Q. LEDはなぜ蛍光灯より長持ちするのか?
A. 蛍光灯は電極の消耗や蛍光物質の劣化によって寿命が来ますが、LEDは消耗する部品が少なく構造がシンプルなため長寿命です。一般的な蛍光灯の寿命が約6000〜12000時間なのに対し、LEDは約40000時間以上と約4〜7倍長持ちします。毎日8時間使っても13年以上もつ計算です。
Q. LEDはなぜ省エネなのか?
A. 白熱電球は電気エネルギーの約95%が熱として無駄になり、蛍光灯でも約70〜80%が熱になります。一方LEDは電気エネルギーのほぼすべてを光に変換できるため、同じ明るさを得るのに必要な電力が大幅に少なくなります。同じ明るさなら白熱電球の約6分の1、蛍光灯の約2分の1の電力で済みます。
Q. スマホの画面はなぜ有機ELとLEDで見え方が違うのか?
A. 有機EL(OLED)は有機化合物に電気を流して発光させる技術で、画素ひとつひとつが自ら光ります。黒を表示するときは画素の光を完全に消せるため、完全な黒と鮮やかなコントラストが実現します。一方液晶ディスプレイはLEDのバックライトを液晶でコントロールする仕組みのため、黒でもバックライトが漏れてやや明るくなります。これが両者の見え方の違いの主な原因です。
まとめ
LEDが色を変えられる理由は、半導体の材料の種類によって放出される光の波長(色)が決まり、赤・緑・青の3色のLEDを組み合わせることであらゆる色を作り出せるからです。青色LEDの開発というノーベル賞級の発明によって光の三原色が揃い、現代のフルカラー画面と省エネ白色照明が実現しました。毎日見ているスマホの画面やテレビの裏に、半導体の精巧な仕組みが詰まっていたのですね。他にも気になる「なぜ?」があればぜひ他の記事も読んでみてください。